パッケージ型自動消火設備とは|設置基準やスプリンクラーとの違いについても詳しく解説!

消防用設備

皆さんこんにちは。

通常用いられる消防用設備等(屋内消火栓やスプリンクラー)の代替設備として、防火安全性能を有する消防の用に供する設備(パッケージ型消火設備やパッケージ型自動消火設備)があります。

今回はパッケージ型自動消火設備のお話をしていこうと思います。

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パッケージ型自動消火設備とは

パッケージ型自動消火設備はスプリンクラー設備の代替設備として誕生し、必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備(通常使われる消防用設備等に代えて使うことができる設備)(以下、消防の用に供する設備)として区分されています。

この消防の用に供する設備には、他には、屋内消火栓設備の代替設備としてパッケージ型消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備、特定駐車場用泡消火設備などがあります。

▼パッケージ消火設備に関する記事はこちら▼

パッケージ型自動消火設備の構成と種類

パッケージ型自動消火設備の構成機器は

  • 消火薬剤貯蔵容器
  • 容器弁開放装置
  • 加圧用ガス容器
  • 安全装置(安全弁など)
  • 電動弁(放射区画が多数ある場合)(主選択弁と個別選択弁がある)
  • 銅管(薬剤導入管)(薬剤放出管)
  • 薬剤放出口
  • 感知器(熱式・煙式)
  • 制御盤(受信機・中継器)
  • 非常電源(蓄電池設備)

上記の機器などにより構成されています。

作動プロセス

作動プロセスとしては、パッケージ型自動消火設備の専用火災感知器(自動火災報知設備の感知器を用いて、検出方式の異なる2種類の感知器)が火災を感知した時に、窒素ガスを用いる加圧用ボンベを開いて消火剤貯蔵容器内に圧力をかけ、薬剤を銅管に導入して薬剤放出口から放射して消火をする消火設備になります。プロセスの例として

  1. 火災を専用感知器(煙式)が感知する
  2. 制御盤でブザーが鳴り感知器の作動を伝える
  3. 火災拡大して専用感知器(熱式)が作動する
  4. 2種類の感知器が作動したので制御盤は火災と断定する
  5. 消火薬剤を放射する為の加圧用ボンベを開いてガスを導入する
  6. ガスの圧力により消火薬剤が押し出されて配管へ導入される
  7. 火災区域へ消火薬剤を導く為に電動弁(配管の分かれ道を制御するもの)を開いて道を作る
  8. 配管と電動弁を通過して火災区域の薬剤放出口から消火薬剤が放出される
  9. 火災を鎮圧

このような流れになります。

スプリンクラー設備との違いについて

パッケージ型自動消火設備はスプリンクラー設備の代替設備ですが、これらの設備の違いについて解説いたします。

・使用する消火薬剤

スプリンクラー設備は普通の水を使用して火災を抑制するのに対して、パッケージ型自動消火設備は「第3種浸潤材等入り水」という専用消火薬剤を使用していますので、火災を鎮火することができるそうです。

・配管への充水

スプリンクラー設備は方式によりますが、湿式の場合であれば配管内は常時充水されていて、スプリンクラーヘッドが作動すればすぐさま放水できる反面、凍結などにより配管が破損して漏水する可能性があります。

パッケージ型自動消火設備は配管内は常に空ですので凍結などの心配がありませんが、放水の際には配管へ消火薬剤を導入充水しますので少しタイムラグが発生します。

・使用する付属機器

パッケージ型自動消火設備はパッケージ・制御盤・感知器・電動弁などで構成されていますが、スプリンクラー設備はポンプユニット・圧力調整弁・水源水槽・流水検知装置(アラーム弁)末端試験装置、一斉開放弁などの多数の機器により構成されています。

設置できる防火対象物

設置できる防火対象物は下表の通りで、政令別表第一の5項と6項、16項・イとロ(5項や6項の用途がある場合)、16の2項に設置することができます。

Ⅰ型を設置できる防火対象物

消防法施行令第12条第1項第1号、第3号、第4号、第9号から第12号までに掲げる防火対象物又はその部分(スプリンクラー設備の設置に関する基準の部分で、地階を除く階数が11以上の部分にはスプリンクラー設備を設置しなさい等の設置の基準)(第12条第2項第2号ロに掲げる部分を除く。(スプリンクラーヘッドの設置に関する基準の部分で、指定可燃物を貯蔵したり又は取り扱う部分、及び高天井部分(高さが10mを超える部分)には放水型のスプリンクラーヘッドを設置しなさいという基準))のうち、政令別表第一の5項・6項の防火対象物または16項の防火対象物のうち5項や6項の用途に使用される部分が存するもので、延べ面積が10000㎡以下のものに設置することができます。

Ⅱ型を設置できる防火対象物

消防法施行令第12条第1項第1号、第9号に掲げる防火対象物又はその部分で、延べ面積が275㎡未満のもの(易燃性の可燃物(綿、ウレタンフォーム、マッチ類、化繊類などの着火性が高くて、燃焼速度の早い物質のこと。又はそういう状態にあるもののことをいう)があり消火が困難と認められるものを除く。)に設置することができます。

設置・維持の基準

パッケージ型自動消火設備は、下記に定めるところにより設置・維持しなければなりません。

  1. 同時放射区域(火災が発生した場合に、作動装置や選択弁などに接続する1の放出銅管に接続される、一定の区域に係わる全ての放射口から消火や延焼拡大防止のために同時に消火薬剤を放射して防護するべき区域のこと)は原則として、パッケージ型自動消火設備を設置しようとする防火対象物又はその部分のうち、壁・床・天井・戸(ふすまや障子などに類するものを除く。)などで区画されている居室や倉庫などの部分ごとに設定する。
  2. 壁・床・天井・戸などで区画されている居室などの面積が13㎡を越えている場合には、同時放射区域を2以上に分割して設定することができます。この場合、それぞれの同時放射区域の面積は13㎡以上とします。
  3. 防護面積(2以上のパッケージ型自動消火設備を組み合わせて使用する場合には、当該設備の防護面積の合計)が各同時放射区域の面積以上であるものを設置する。
  4. 同時放射区域で発生した火災を有効に感知して、かつ、消火出来るように設置する。
  5. 同時放射区域を2以上のパッケージ型自動消火設備により防護する場合は、同時に放射出来るように作動装置などを連動させるようにする。
  6. Ⅰ型のパッケージ型自動消火設備の場合は、以下により消火薬剤・消火薬剤貯蔵容器・受信装置・中継装置・作動装置などを2以上の同時放射区域で共用することができる。
    1. 隣接する同時放射区域の設備を共用しないこと。ただし、以下の場合には隣接する同時放射区域の設備を共用することができる。
      1. 隣接する同時放射区域が建基令第107号(耐火構造に関する基準の部分)に規定する耐火性能若しくは建基令第107号の2(準耐火構造に関する基準の部分)に規定される準耐火性能又はこれと同等以上の防火性能がある壁や間仕切り壁で区画され、かつ、開口部に建基法第2条第9号の2ロ(延焼のおそれのある開口部等に防火戸などの防火設備を設置しなさいという基準)に規定する防火戸が設けられている場合。
      2. 入所者が就寝に使用する居室以外で、講堂・機能訓練室などに類するもので、可燃物の集積量が少なく、かつ、延焼拡大の恐れが少ないと認められる場所に設置する場合。
      3. 上記のⅠ又はⅡの場合の他、消防法施行令第12条第2項第3号の2(特定施設水道直結型スプリンクラー設備の設置基準に関する部分)に規定する床面積の合計が1000㎡未満の防火対象物又はその部分に設置する場合であっても、火災が発生した同時放射区域以外の同時放射区域に対応する防護区域に設ける放射口から消火薬剤が放射されないように設置する場合。
    2. 共用する2以上の同時放射区域にそれぞれ対応する警戒区域において発生した火災を有効に感知することができ、かつ、火災が発生した同時放射区域に有効に消火薬剤を放射できるパッケージ型自動消火設備を用いる。
    3. 作動装置が作動してから共用するいずれかの同時放射区域においても30秒以内に消火薬剤を放射することができるパッケージ型自動消火設備を用いる。

性能などについて

パッケージ型自動消火設備の感知部や消火薬剤の放射性能などは以下の様になっています。

感知部

  1. 感知器型感知部は、感知器等規格省令の規定に適合するものを使用する。(自動火災報知設備に用いる火災感知器など)
  2. その他の感知部は、感知器等規格省令の規定に適合するものと同等以上の性能があるものを使用する。
  3. 感知部は、検出方式の異なる2以上のセンサーにより構成する。(熱式と煙式、熱式(差動式と定温式)など)

放射性能

  1. 作動後速やかに防護区画内に消火薬剤を有効に放射できること。
  2. Ⅰ型にあっては、充填された消火薬剤の容量又は質量の85%以上の量を放射できること。
  3. Ⅱ型にあっては、充填された消火薬剤の容量又は質量の90%以上の量を放射できること。
  4. 放出口を複数設置するものの各放出口から放射される消火薬剤の容量又は質量は、放射された全消火薬剤の容量又は質量を放出口の数で除した値の90%以上110%以下であること。

消火薬剤の種類・貯蔵量

  1. 消火薬剤の種類及び消火薬剤量は下表のとおりとする。
  2. 消火薬剤の量は、原則として下表に示す消火薬剤量の1.2倍以上の量とする。
  3. Ⅰ型における放出時間は、1分以上とする。

工事や整備・点検に係る資格区分

パッケージ型自動消火設備の点検や工事に係る資格は、主に消防設備士1類・2類・3類です。点検のみに関しては消防設備点検資格者1種でも対応できます。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回はパッケージ型自動消火設備の概要や設置基準について解説させていただきました。

このパッケージ型自動消火設備はスプリンクラー設備の代替設備であるので、そこそこ大きな防火対象物(又はその部分)でないと設置できませんし、上記の設置防火対象物の表を見ても、10,000㎡以下の防火対象物でなおかつ5項や6項(又はその用途のある複合用途防火対象物)や地下街にしか設置することができないので、なかなかお目にかかれない設備の1つだと思います。

ただ、点検に関しては各放出口の外観、電動弁の作動、感知器の作動、同時放射区域の確認など確認する項目が非常に多いので、スプリンクラー設備よりも大変ではないかと思います。

参考記事:だれでもわかる消防用設備 | わかりやすく説明・解説する、 消防設備士の防災ブログ

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