避難階段の種類について|特別避難階段との違いも詳しく解説

消防用設備

避難器具の点検や勉強をしていると聞く避難階段や特別避難階段という単語、意外と知っているようで知らないものかもしれませんので今回の記事で解説したいと思います。

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避難階段の種類について

避難階段(非常階段ともいう。)には種類があり、

  • 屋内避難階段
  • 屋外避難階段
  • 特別避難階段
  • 消防庁告示第7号の屋内避難階段

の4種類があります。

ちなみに「直通階段」という用語もありますが、これは避難階に直接繋がっている階段のことを指します。

これらの避難階段は壁、階段、天井に使用できる材質(耐火構造など)や、採光や照明、出入口の扉に至るまで建築基準法施行令によって細かく定められています。

特別避難階段は、建築物の15階以上の階と地下3階以下の階に設置が義務づけられています。

避難階段は、建築物の5階以上の階と地下2階以下の階に設置が義務づけられていています。

屋内避難階段の概要について

ここでは避難階段のうち、「屋内避難階段」についてご説明します。

建築基準法施行令第123条第1項にその規定が定められています。

  • (1)階段室の屋外に面する壁に開口部(窓など)を設ける場合には、他の開口部と階段室以外の壁や屋根などから900mm以上の距離に設ける。(ただし書きあり。)
  • (2)上記(1)の条件に合致しない場所に一般開口部を設ける場合には(一般開口部より900mm未満)、500mm以上の袖壁を設ける。
  • (3)階段室には、窓や採光の為の開口部、又は予備電源付きの照明器具を設置する。
  • (4)階段室の屋内に面する壁に開口部(窓など)を設ける場合には、各々1㎡以内で鉄製網入ガラスの入ったはめ殺し戸とすること。
  • (5)階段室は耐火構造の壁で形成し(開口部を除く)、階段室内の天井と壁は不燃材料で仕上げる(下地も含む。)
  • (6)階段に通じる出入口の戸は、特別防火設備若しくは防火設備(常閉式の戸若しくは煙感知器連動式の防火戸)(幅750mm以上、高さ1800mm以上、床から戸の下端まで15cm以内。)とし、避難の方向に開くこと。
  • (7)階段は耐火構造の直通階段とすること。

上記の様な条件を満たすと屋内避難階段として認められることになります。

屋外避難階段の概要

今度は「屋外避難階段」について見ていきましょう。建築基準法施行令第123条第2項に規定があります。

屋外避難階段は屋外に開放され、煙などが充満することのないことが特徴の避難階段です。

  • (1)階段は、当該階段に通じる出入口以外の開口部(開口面積が各1㎡以内の鉄製網入ガラスのはめ殺し戸を除く。)から2m以上の位置に設けること。
  • (2)屋内から階段へ通じる出入口の戸は、特別防火設備若しくは防火設備(常閉式の戸若しくは煙感知器連動式の防火戸)(幅750mm以上、高さ1800mm以上、床から戸の下端まで15cm以内。)とし、避難の方向に開くこと。
  • (3)階段は耐火構造の直通階段であること。

上記の様な要件を満たすと屋外避難階段として認められることになります。

特別避難階段の概要

それでは「特別避難階段」の他との違いは何でしょうか。

特別避難階段を簡単に言うと、屋内避難階段の入り口に排煙窓や排煙口の付いた附室、又はバルコニーがあり、それらを経由して階段室に行くので通常の屋内避難階段よりもより安全性の高い避難階段ということになります。

では詳しい要件を見ていきましょう。

  • (1)屋内と階段室とはバルコニー又は外気に向かって開放できる窓(排煙窓)若しくは排煙設備を設置してある附室を通じて通行出来ること。
  • (2)階段室やバルコニー、附室には、(5)の窓、(7)の開口部、(9)の出入口の部分(非常用エレベーターの乗降ロビーに使用するバルコニーや附室にある非常用エレベーターの昇降路の出入口部分を含む。)を除き耐火構造の壁で囲むこと。
  • (3)階段室には、窓や採光の為の開口部、又は予備電源付きの照明器具を設置する。
  • (4)階段室や附室の、天井及び壁の室内に面する部分は仕上げ及び下地を不燃材料を用いること。
  • (5)階段室のバルコニーや附室に面する部分に窓を設ける場合には、はめ殺し戸を設けること。
  • (6)バルコニーや附室には階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けてはならない。
  • (7)階段室やバルコニー、附室の屋外に面する壁に設ける開口部(開口面積が各々1㎡以内で鉄製網入りガラスを用いたはめ殺し戸の部分を除く。)は、階段室やバルコニー、附室以外の建築物の部分にある壁や屋根(耐火構造の部分を除く。)から90cm以上の距離で延焼のおそれのない部分に設けること。
  • (8)階段室には、バルコニー及び附室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けてはならない。
  • (9)屋内からバルコニー又は附室に通じる出入口の戸は、特定防火設備の常時閉鎖式、又は随時閉鎖式・煙感知器等連動の防火戸とし、避難の方向に開くこと。
  • (10)バルコニー又は附室から階段室へ通じる出入口は、防火設備の常閉式の戸、若しくは煙感知器連動の防火戸とし、避難の方向に開くこと。
  • (11)階段は耐火構造の直通階段とする。
  • (12)建築物の15階以上の階又は地下3階以下の階の各階における階段室及び、この階段室と屋内を繋ぐバルコニーや附室の床面積の合計は、その階にある各居室の床面積に※1の用途に使う居室にあっては8/100、それ以外の用途の居室にあっては3/100を乗じた数の合計以上とする。

上記の要件を満たすと特別避難階段と認定されます。

平成14年消防庁告示第7号に規定される屋内階段

屋内避難階段の例外として、屋内階段であっても一定の要件を満たせば屋内避難階段として認めてくれる場合があります。

平成14年の消防庁告示第7号に記載のある屋内避難階段の要件についてお話させて頂きます。

屋内階段のうち、階段の各階や階段の中間部分ごとに下記要件に適合する直接外気に開放された排煙上有効な開口部がある階段は消防庁告示第7号の屋内避難階段として認められます

  • (1)開口部の面積は、2㎡以上である。
  • (2)開口部の上端は天井と同じ位置である。ただし、階段の部分の最上部における当該階段の天井の高さの位置に500平方センチメートル以上の外気に開放された排煙上有効な換気口がある場合は、この限りでないこと。

ただし、所轄消防により取扱いが異なる場合がある(建具を設けた場合など)ので注意しましょう。

まとめ

本記事では避難階段について解説しました。

屋内の避難階段(特別避難階段含む)には予備電源付きの照明器具を設置という要件がありますが、これには階段通路誘導灯兼用の非常照明器具を設置します。器具内部に非常電源を搭載していて、万が一停電になっても20分以上(大規模建築物では60分)点灯する照明器具になっています。

これは階段において1ルクス以上の照度が確保できるのであれば、階段通路誘導灯ではなく非常用の照明装置(予備電源付きの照明器具)で代用できるという基準があるからです。

ちなみに消防法では非常電源で点灯するべき時間は20分(大規模建築物では60分)ですが、建築基準法では30分点灯になりますのでまちがえないようにしてください。


※1

劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、またこれらに類するもの。

百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、またこれらに類するもの。

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